出荷調整が最も厳しかった時期、メニエール病患者の日常には深刻な打撃が及んでいました。患者団体への聞き取りやSNS上の闘病コミュニティでは、切迫した叫びが記録されています。
「朝起きた瞬間に視界が激しく回転し、救いを求めて耳鼻科に駆け込んだのに、門前薬局で『イソバイドの在庫が底をついた』と言われた。薬局を3軒ハシゴしても見つからず、発作の恐怖で動悸が止まらなかった」(40代女性・メニエール病歴5年の手記より)
こうした声は決して珍しいものではありませんでした。耳鼻咽喉科処方の最新動向を調査すると、当時は処方日数を従来の30日分から14日分に短縮して薬局ごとの在庫を融通し合ったり、院外処方箋に「後発医薬品への変更不可」のチェックを外して代替品での調剤を急遽認めたりするなどの緊急対応が常態化していました。
厚生労働省の安定確保会議や各製薬企業の安定供給情報によると、各メーカーの生産ライン増強や在庫配分の見直しが進んだことで、供給再開時期を迎えた規格が増加。流通の混乱はピーク時と比較して大幅に沈静化しています。ただし、一部の地域や小規模な調剤薬局では、卸売業者からの割当配送(アロケーション)が完全に解除されていないケースも散見され、現場の警戒感は依然として残っています。