番組開始時点では視聴者の大半が「誰だこの男たちは?」と首をかしげていたサンドウィッチマンが、なぜわずか数十分で頂点に君臨できたのか。その優勝理由には、技術的・心理的な必然性が存在していました。
第1の要因は、富澤たけしの緻密な脚本構成と伊達みきおの卓越したツッコミ技術です。ファーストステージで披露された「街頭アンケート」では、見た目のいかつい男たちが丁寧な口調で理不尽なボケを繰り出すという「外見と内面のギャップ」を巧みに利用しました。伊達の「ちょっと何言ってるか分からない」というフレーズをはじめ、視聴者が抱く疑問を1秒の狂いもなく代弁するツッコミの切れ味は、会場の緊張を一瞬で爆笑へと昇華させました。
第2の要因は、最終決戦で放った「ピザ屋ネタ」の爆発力です。「ファーストステージで一番強いネタを使い切り、2本目で失速する」という賞レースの定石を覆し、2本目にさらにテンポと手数を上げたネタを配置。電話注文のやり取りから配達のくだりに至るまで、無駄な言葉が一切削ぎ落とされた4分間の完成度は、審査員たちを完全に唸らせました。
また、自著や当時の特番インタビューにおいて、2人は「これで結果が出なければ芸人を辞めて仙台へ帰る」という約束を交わして大会に臨んでいたことを明かしています。極限の精神状態が生み出した迷いのない間合いと気迫が、テレビ朝日のスタジオ全体を巻き込む強烈なうねりを生み出しました。