医学的な定義において、閉経とは「卵巣の活動が停止し、月経が永久に停止した状態」を指します。具体的には、月経が来ない状態が満12カ月(1年間)以上続いた時点で、1年前を振り返って「あの月経が最後だった」と後方視的に確定します。
日本産科婦人科学会の調査や臨床データによると、日本人女性における閉経平均年齢は約50.5歳です。ただし、分布をみると45歳未満で迎える「早発閉経(早期閉経傾向)」から、55歳を過ぎても続く「遅発閉経」まで、閉経年齢の個人差は極めて幅広いのが実情です。統計上、45歳から56歳までの間に約8割から9割の女性が閉経を迎えます。
では、なぜここまでタイミングに差が生じるのでしょうか。主な閉経が遅い原因としては、以下の生化学的・体質的要因が挙げられます。
- 保有する卵胞数と減少スピードの差異:女性が一生の間に排卵する卵子の数は決まっていますが、生まれ持った原始卵胞のストック数や、加齢に伴う卵胞の減少・閉鎖ペースには生まれつきの個体差が存在します。
- 体脂肪量とアロマターゼの働き:エストロゲンは卵巣だけでなく、体脂肪組織内に存在する酵素(アロマターゼ)によっても微量に作られます。肥満傾向(高BMI)の女性は体脂肪由来のエストロゲンが供給され続けるため、閉経時期が遅くなる傾向が認められています。
- 遺伝的・家族的背景:実母や姉妹の閉経年齢が遅い場合、体質的な遺伝要因によって同様の傾向を示す事例が多く報告されています。
- 非喫煙習慣:喫煙は卵巣の血流を阻害し卵胞を減少させるため、閉経を1〜2年早めることが判明しています。裏を返せば、非喫煙者の方が自然なペースで卵巣機能が維持され、閉経が遅くなりやすい傾向があります。