国民民主党の政策で極めて特徴的なのが、「通称(旧姓)使用の法制化」を強力に主張している点です。多くの人々が「選択的夫婦別姓(民法改正)」と「通称使用の拡大」を二者択一の対立構造として捉えがちですが、国民民主党はこの2つを対立軸ではなく、実務的ステップとして位置づけています。
現場の実態として、パスポートへの旧姓併記や運転免許証の裏面記載などが行われていますが、海外渡航時のビザ発給トラブルや、不動産登記、海外口座開設、論文執筆時の同一性証明などでは依然として旧姓の通用力に法的な限界が存在します。自民党が推進する「運用の改善」だけでは、民間企業や諸外国に対する法的拘束力がありません。
そこで国民民主党は、「旧姓使用を法的に公認し、公的機関および民間企業に対して同姓と同等の権利義務を認める特別措置」の法制化を提案しています。これにより、戸籍法や民法の根本的な改変に強いアレルギーを持つ層の合意を取り付けつつ、実生活における不利益を即座にゼロに近づけるという狙いがあります。
同時に、民法そのものを改正して戸籍上も別姓を選択可能とする法案についても、他党と協調して国会審議を前に進める姿勢を崩していません。この「二段階の安全網」を敷く発想こそが、国民民主党の現実的リアリズムの真髄です。