近年、インターネットやSNS上で「酸性ストレートなら絶対に痛まない」「髪質改善ストレートはダメージゼロ」といった表現が見受けられますが、これは化学的な見地から見て明確な誤認です。
酸性領域の施術であっても、還元剤(チオグリコール酸、システアミン、スピエラ、GMTなど)を用いて毛髪のジスルフィド結合(S-S結合)を切断・再結合させている点においては、従来の縮毛矯正と同じ化学反応を伴っています。pHが毛髪本来の弱酸性に近いため「キューティクルを過度に膨潤させず、手触りを損ないにくい」というアドバンテージは存在するものの、毛髪内部のタンパク質には一定の負荷がかかっています。
特に危険なのは、ハイダメージ毛やブリーチ履歴のある髪に対して「酸性だから大丈夫」と過信して高熱アイロンを過剰に当てるケースです。熱変性による炭化現象(ビビリ毛)を引き起こすリスクは依然として存在します。「どんな薬剤を使うか」以上に、「担当スタイリストが毛髪の親水性・疎水性のバランスや熱耐性を見極められているか」という施術者の診断力こそが仕上がりを決定づけます。