この壮絶を極めた闘病の全貌は、星野源さんの自著であるエッセイ集『蘇える変態』(マガジンハウス)の中に極めて生々しく、そしてユーモアを交えながら赤裸々に綴られています。病気からの生還を美談として美化するのではなく、人間の弱さや醜さ、肉体的な屈辱までを包み隠さず描写した手記は、読者や医療関係者にも大きな反響を呼びました。
手記の中で語られているのは、ICU(集中治療室)の過酷な日常です。頭蓋骨を開けたことによる想像を絶する頭痛、24時間点滴に繋がれ体を動かすことすら許されない不自由さ、自力で排泄ができない精神的屈辱、そして夜ごとに襲いかかる「このまま気が狂ってしまうのではないか」という譫妄状態や死の恐怖。一時は「頼むから早く殺してくれ」と心の中で懇願するほど、精神の限界に追い詰められていたと告白しています。
しかし、その極限状態の暗闇の中で彼を救ったのは、下品な妄想や表現者としての業でした。「もしここから生きて出られたら、この苦しみと屈辱をすべて面白いエンターテインメントに変えてやる」という執念にも似た思いが、生命の灯火を消さずに繋ぎ止めたのです。SNSや読者コミュニティでも、「この手記を読んで病気と向き合う勇気をもらった」「人間の生命力の根源を見た」と称賛の声が今なお寄せられ続けています。