『明日への扉』の誕生には、平成の音楽シーンでも類を見ない特異なドラマがありました。当時16歳だった川嶋あいは、「路上の天使」と呼ばれ、東京・渋谷のハチ公前などで「路上ライブ1000回」「CD手売り1万枚」「渋谷公会堂ワンマンライブ」という過酷な目標を掲げて歌い続けていました。
その圧倒的な歌声とひたむきな姿に目を留めた音楽プロデューサーのnao(菅原直洋)とスタッフによって、ボーカルユニット「I WiSH」のプロジェクトが始動します。折しもフジテレビ系『あいのり』の新主題歌コンペが進行しており、naoが手がけたキャッチーなメロディと川嶋あいの歌唱が見事に起用を勝ち取ることとなりました。
ここで大きな課題となったのが、川嶋あい名義での路上活動との整合性です。川嶋あい自身が「自力で路上ライブの目標を達成してからメジャーデビューしたい」という強い信念を持っていたため、メディア側と制作チームは「I WiSHのボーカル・aiの正体は非公表」とする覆面スタイルでのデビューを決断しました。
2003年2月14日にリリースされたシングルは瞬く間にオリコン1位を獲得し、出荷枚数100万枚を突破する大ヒットを記録。そして同年8月20日、目標としていた渋谷公会堂でのワンマンライブのステージ上で、aiと川嶋あいが同一人物であることが公式に明かされ、日本中を驚嘆させました。