ネット上の口コミで「広頚筋ボトックスを打ったのにシワが消えなかった」という不満の声が見られる背景には、首の縦ジワと横ジワの発生メカニズムの違いを正しく理解していないという決定的な盲点が存在します。
ボトックスが得意とするのは、首に力を入れた際や喋った際に浮き出る「縦方向の筋張り(動的シワ)」です。一方で、長年の姿勢不良やコラーゲンの減少、皮膚の折り畳みによって刻まれた「水平方向の横ジワ(構造的シワ)」は、筋肉の緊張ではなく皮膚組織自体の変性が主因です。
横ジワに対して通常の筋肉内ボトックスを深く注入しても、溝そのものを埋めることはできません。横ジワの改善を目指す場合は、極めて浅い真皮層に細かく注入して肌表面のハリを出す「マイクロボトックス」や、ヒアルロン酸・プロファイロといった再生系注入剤とのコンビネーション治療を選択するのが医療現場のスタンダードです。適応の誤診こそが、「期待外れ」と感じてしまう最大の要因といえます。