インターネット上の掲示板やSNSでは、時折「白身魚フライに使われているのは怪しい深海魚」「安価な代用魚だから安全性が不安」といった誤解やネガティブな噂が散見されます。しかし、水産加工業界の関係者取材や学術的な調査を総合すると、これらの噂の多くは実態と大きく乖離しています。
ホキやメルルーサは水深200〜1000メートル前後に生息するため、生物分類学上は深海魚に属しますが、見た目が深海魚特有の細長い形状をしているだけで、身質はタラ科に極めて近く、毒性や特異な油脂成分は一切含まれていません。むしろ、ニュージーランドやアラスカなどの徹底した海洋資源管理(MSC認証など)のもとで漁獲される持続可能な優良水産資源です。
日本の大手弁当チェーンがのり弁の具材として白身魚フライを採用したのは、1970年代中盤のことでした。当時、冷めても身が硬くならず、ちくわの磯辺揚げやおかかご飯、醤油タレとケンカしない万能の魚として白熱した試行錯誤が行われ、ホキやスケソウダラが選ばれたという開発経緯が存在します。「安価だから」という消極的な理由だけでなく、「時間が経ってもふっくら柔らかく、冷めても油っぽくならない」という機能的理由から、日本の国民食の座を射止めたのです。