なぜ『半沢直樹』はそこまで人々を引きつけたのか。答えはシンプルだ。圧倒的な「わかりやすさ」と、歌舞伎役者たちによる過剰なまでの演技バトルにある。香川照之や片岡愛之助らが繰り出す、画面からはみ出さんばかりの「顔芸」は、小さなスマホの画面で見るにはあまりにも濃すぎた。
巨大なテレビ画面だからこそ伝わる熱量があった。サラリーマンの日常的な理不尽を、これでもかとデフォルメして描き、最後に悪役を土下座させる。この様式美は、現代の洗練された、どこか冷めたドラマにはない泥臭いエネルギーに満ちていた。視聴者はただの観客ではなく、半沢と一緒に戦う同志だったのだ。