排除反応は全身どの部位でも起こり得ますが、人体の解剖学的構造や日常動作の負荷によって、発生率には極めて大きな格差が存在します。ボディピアス専門スタジオのカルテ分析や形成外科の臨床報告によると、特に「皮膚の可動性が高い部位」と「血流が乏しい軟骨部」において排除の相談が集中しています。
代表格として挙げられるのがへそピアスの排除です。へそ周辺(ナベル)は、座る・立つ・前屈するといった日常動作のたびに皮膚が激しく伸縮し、衣服や下着、ウエストバンドによる強い摩擦と圧迫を24時間受け続けます。さらに、ピアッシング時に皮膚を浅く挟みすぎたり、皮下脂肪の厚みに対してカーブバーベルの長さやアールが合っていなかったりすると、物理的張力(テンション)がホールの前壁に集中します。皮膚組織はこの強烈な圧力から逃れるために、ピアスを前へ前へと押しやってしまい、最終的に皮一枚を残して裂開に至るケースが多発します。
一方、近年トラブル相談が急増しているのが軟骨ピアスの排除反応です。ヘリックス、トラガス、インダストリアルなどに代表される軟骨組織は、皮膚組織に比べて血管網が極めて乏しく、血流による創傷治癒のスピードが遅いという弱点を持っています。骨膜に対して斜めにニードルが刺入されたり、就寝時の寝返りで頭部の重量(約5〜6キロ)が長時間ピアスの軸に加わり続けたりすると、軟骨膜が壊死を起こしてピアスを保持する力を失います。軟骨ピアスが排除される際は、周囲の軟骨が徐々に融解・吸収されるため、独特の変形を伴うリスクがある点に注意しなければなりません。
また、眉(アイブロウ)や胸元(チェスト)、首筋(ネイプ)などの「サーフェイスピアッシング(平面の皮膚をつまんで通すピアス)」は、そもそも構造的に人体の皮膚張力と真っ向から衝突するため、適切なサーフェイスバーベルやマイクロダーマルを使用しない限り、数年以内の排除発生率が極めて高い玄人向けの領域となっています。