事件の背景を掘り下げる上で避けて通れないのが、家庭環境と家族構成の内実です。関係者の証言によると、家庭は父親、母親、そして被害に遭った男児の3人暮らしでした。周囲からは一見、平凡で穏やかな子育て世帯に見えていたものの、その扉の奥では深刻なストレスと歪みが進行していました。
事件発覚後、取材に応じた近隣住民の証言からは、日常的に漏れ聞こえていた異変が浮き彫りになっています。
「数カ月前から、夜遅い時間に壁越しに怒鳴り散らすような声や、何かが激しく床にぶつかる音が聞こえることがありました。子どもが泣き叫ぶ声も聞こえていましたが、まさかこんな凄惨な事態になるとは思わず、通報をためらってしまったことが悔やまれます」(近隣のアパート住民)
一方、共犯性を疑われた母親の証言と取り調べの記録からは、家庭内における極端なパワーバランスが窺えます。母親は事件当時、仕事のため外出中であり、男児の異変に直接気づくことができない状況にありました。検察側の聴取に対して母親は、「夫は育児に協力的であるように見せていたが、男児が思い通りに動かないと激昂することがあった。家庭内は常に夫の顔色をうかがう空気だった」と涙ながらに証言しており、日常的な家庭内ストレスが男児へと向かっていた構図が浮き彫りとなっています。