名優・原田芳雄が遺した伝説と最期の真相|映画界に刻んだ熱き軌跡

名優・原田芳雄が遺した伝説と最期の真相|映画界に刻んだ熱き軌跡

名優・原田芳雄が遺した伝説と最期の真相|映画界に刻んだ熱き軌跡の概要と注目ポイントをわかりやすく整理しました。

原田芳雄のキャリアは、最初から順風満帆だったわけではない。若い頃の原田は、東京都立本所工業高校を卒業後に一度一般企業へ就職するも、わずか3カ月で退職。1962年に劇団俳優座養成所に第14期生として入所した。

しかし、授業料を滞納したことで留年を余儀なくされ、翌年の第15期生として卒業することになる。この15期生こそが、地井武男、夏八木勲、栗原小巻、前田吟、村井国夫、太地喜和子らを輩出し、後に日本演劇界で伝説と呼ばれる「花の15期生」である。月謝を払うために高級ホテルの生花店で配達アルバイトに精を出した経験など、若い頃の泥臭い下積み生活が、後の人間味あふれる演技の血肉となった。

1968年に映画『復讐の歌が聞える』で本格デビューを果たして以降、原田芳雄は100本を超える映画に出演し、日本映画史に残る数々の傑作を世に送り出した。その足跡をまとめたのが以下の比較表である。

年代・公開年代表作(映画)演じた役柄・特徴受賞歴および業界の評価1974年『竜馬暗殺』
(黒木和雄監督)坂本竜馬。
従来の英雄像を解体し、生々しい肉体と焦燥感を持つ等身大の若者として造形。キネマ旬報ベスト・テン上位選出。
「日本映画史上、最も生々しい竜馬」と絶賛される。1975年『祭りの準備』
(黒木和雄監督)中島利広。
閉塞した地方の村で荒ぶる暴れん坊でありながら、主人公を導く不器用な兄貴分。ブルーリボン賞助演男優賞受賞。
キネマ旬報助演男優賞受賞。助演としての地位を確立。1980年『ツィゴイネルワイゼン』
(鈴木清順監督)中砂弟四郎。
生と死の境界を漂う放浪の知識人。妖艶で狂気をはらんだ怪演を披露。日本アカデミー賞最優秀作品賞。
キネマ旬報ベスト・ワン。ベルリン国際映画祭特別賞。映画史に輝く金字塔。1990年『浪人街』
(黒木和雄監督)荒牧源内。
酒浸りで落ちぶれた浪人。凄まじい太刀回りと哀切に満ちた殺陣を体現。日本アカデミー賞優秀主演男優賞。
時代劇の復権に寄与した円熟期の代表作。2011年『大鹿村騒動記』
(阪本順治監督)風祭善。
長野県大鹿村でシカ料理店を営みつつ地芝居に情熱を傾ける主人公。遺作。日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(没後追贈)。
キネマ旬報主演男優賞、旭日小綬章追贈。

2003年には長年の芸術文化への功績が認められ紫綬褒章を受章。さらに没後の2011年には旭日小綬章が追贈された。アウトローや無頼漢を演じさせたら右に出る者はいないと言われながら、晩年は是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』(2008年)や『奇跡』(2011年)などにおいて、頑固だがどこか愛らしい市井の父親・祖父役を自然体で演じ、円熟味を見せていた。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。