戦後、栄養状態の改善とともに日本の平均身長は飛躍的に伸びました。1948年時点の17歳男子の平均身長は約160.6cmでしたが、半世紀以上かけて約10cm以上も伸長した歴史があります。しかし、1978〜1980年生まれ世代をピークとして、その上昇トレンドはストップしています。
「なぜ背が伸びなくなっているのか」という疑問に対し、小児内分泌の専門家や疫学研究からは主に3つの構造的要因が指摘されています。
第1に挙げられるのが、低出生体重児(出生体重2500g未満)の増加です。1980年代以降、医療現場での体重管理指導や生活スタイルの変化に伴い、小さく産まれる赤ちゃんの割合が増加しました。出生時の体重や胎内環境は成人時の身長にも一定の相関を持つことが近年の追跡調査で判明しています。
第2の要因は、子どもの夜型化と睡眠時間の減少です。スマートフォンやタブレット端末の普及によって、小中学生の就寝時刻は後ろ倒し傾向にあります。骨の伸長に不可欠な成長ホルモンは深い睡眠(ノンレム睡眠)時に集中的に分泌されるため、慢性的な睡眠不足は骨の成長に直接的な影響を及ぼします。
第3に、過度なダイエット志向や朝食欠食による栄養バランスの乱れです。エネルギー摂取量は足りていても、骨の基底構造を作るタンパク質や亜鉛、マグネシウムなどの微量ミネラルが不足しているケースが目立ちます。