『マギ』が少年漫画史において極めて特異な輝きを放っている理由は、単なる冒険活劇にとどまらない点にある。奴隷制、貧困、宗教対立、イデオロギーの衝突といった重厚なテーマを真っ向から描き、少年漫画にダークファンタジーの切れ味を導入した先駆的作品だった。
善悪が単純に割り切れない構造や、主人公サイドと対立勢力の双方が持つ正義のぶつかり合いは、のちのヒット作にも通じる潮流を作った。商業的な連載ペースの都合による歪みはあったにせよ、作品が日本のアニメーション産業や漫画界に残した影響力の大きさは今なお色褪せていない。