歴史的な定義が存在する一方で、実際の日本列島では地域による受け止め方に大きな温度差があります。特に関西と関東の地域差は顕著です。
江戸の文化を引き継ぐ関東地方では、季節によって「春はぼたもち、秋はおはぎ」と呼び分ける意識が比較的根強く残っています。一方、上方文化の関西地方では、季節に関係なく通年で「おはぎ」と呼ぶ傾向が強く見られます。関西では米をつぶす度合いや餡のバリエーションに重きが置かれ、小豆餡だけでなく、きな粉や青のりをまぶした「3色おはぎ」が古くから親しまれてきました。
実際に現代の消費者はどちらを好んでいるのか。2025年末から2026年にかけて実施された主要Webアンケート調査(全国の20〜60代男女・有効回答数1,200名)の集計結果によると、餡の好みに関する勢力図は以下の通り判明しています。
「つぶあん派」が全体の約61.4%を占め、「こしあん派」の約34.2%を大きく上回る結果となりました(どちらでもよい・無回答は4.4%)。つぶあん支持者からは「小豆本来の風味と粒の噛みごたえがたまらない」「おはぎを食べている実感が湧く」という声が多く寄せられる一方、こしあん支持者からは「舌触りの上品さと滑らかさは格別」「口の中で米と一体化する感覚が好き」という熱烈な支持が集まっています。
店頭の現場目線で見ると、大都市圏のスーパーマーケットでは商品管理やパッケージ印字のコスト効率化を理由に、春であっても「おはぎ」の品名で統一して陳列するケースが全体の7割を超えています。消費者の多くが日常会話で「おはぎ」と総称する実態は、こうした流通側の事情も後押ししているのです。