アジの塩焼きを料理屋レベルに引き上げる最大の土台は、丁寧な下処理にあります。下処理が甘いと、どれだけ高精度に焼いても特有の生臭さが口に残り、魚本来の上品な風味が台無しになってしまいます。
最初に行うべきは、アジの側線部にある硬いウロコ「ぜいご」の処理です。尾の付け根から頭側に向かって包丁を寝かせ、小刻みに刃を上下に動かしながら皮を薄くすき取るように切り落とします。このとき、身を削りすぎないよう包丁の角度を水平に保つのがポイントです。
続いて重要なのが、エラと内臓の処理です。エラ蓋を開けてエラの付け根を切り離し、腹に切り込みを入れて内臓を取り出します。内臓処理の段階でエラをしっかり除去しておくと、加熱時の独特な臭い残りを防げます。内臓を取り出したら、背骨沿いにある赤黒い「血合い」を流水とハケや指先を使ってきれいに洗い流してください。最後に、清潔なペーパータオルでお腹の中まで徹底的に水気を拭き取ることが、雑味のないクリアな味わいに仕上げる必須条件です。