ラブマシーンが引き起こした大災害の根底には、開発者である陣内侘助の極めて個人的で人間臭い情念が渦巻いていました。侘助がなぜこのAIを生み出し、あろうことか米軍へ売り渡すに至ったのか。その動機を紐解く鍵は、陣内家の当主・陣内栄に対する複雑怪奇な愛憎にあります。 侘助は、栄の亡き夫・徳衛が外で作った隠し子という出自を持ちます。一族の中でどこか肩身の狭い思いを抱えながら育った彼にとって、分け隔てなく厳しくも温かく接してくれた栄は、母であり、絶対的な憧れの対象でした。しかし10年前、侘助は陣内家の財産を持ち逃げする形で突如として渡米します。親族からは「裏切り者」「一族の恥知らず」と激しく罵倒されましたが、その真意は一族を貶めることではなく、「大金を稼ぎ、立派な男になって栄を驚かせたい」という不器用極まりない思い込みでした。 米国でAI研究の最先端に身を置き、カーネギーメロン大学で寝食を忘れて組み上げたのがラブマシーンでした。その卓越した能力に目をつけたのがアメリカ国防総省(米軍)です。米軍はサイバー戦における自律兵器としての有効性に注目し、実験購入を持ちかけました。侘助は手に入れた莫大な売却益を手に、10年ぶりに上田の陣内邸へ帰還します。 「ばあちゃん、これでお前の手元に金を返せる。俺の力を見直しただろう」 侘助の胸中にあったのは、功名心と承認欲求の塊でした。しかし、栄が返したのは激しい怒りと長刀の切っ先でした。「家族の誇りを捨て、人殺しの道具で稼いだ金など一文の価値もない」と一喝された侘助は、精神的な足場を失って再び家を飛び出します。家族の絆を渇望するあまり、他者への共感や社会的影響力を完全に切り捨てて技術に没頭してしまった技術者の孤独が、未曾有のサイバーテロという怪物を産み落としたのです。
サマーウォーズのラブマシーンとは?暴走の真相と侘助の目的を徹底解剖
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