給与所得における「主たる給与」と「従たる給与」の法的な区分は、単に「収入が多い方」「先に働き始めた方」という主観的な基準だけで決まるものではない。税法上の厳密な定義は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している会社から支払われる給与が主たる給与であり、それ以外の支払者から受ける給与が従たる給与となる。
国税庁の源泉徴収税額表において、主たる給与には「甲欄」、従たる給与には「乙欄」の税率が適用される。甲欄では基礎控除や各種所得控除があらかじめ織り込まれており、月収8万8,000円未満(扶養親族等の数が0人の場合)であれば源泉徴収税額は0円となる。これに対して乙欄では、月収の多寡にかかわらず一律で高い税率が課され、例えば月収数万円程度の副業であっても最初から約3%〜30%を超える高い源泉徴収が実行される。
この二重基準が設けられている理由は、複数の勤務先で同時に基礎控除や扶養控除を二重適用してしまう「税の取りっぱぐれ」を防止するためである。制度の趣旨を理解するために、両者の詳細な違いを下表にまとめた。