軍事演習のみならず、経済特区の視察や重要施設の竣工式に至るまで、金正恩総書記との同行回数は加速度的に増えている。この過密なまでの露出の裏には、緻密に計算された権力継承シナリオが存在する。関係筋や脱北高官ネットワークから漏れ伝わる内部情報によると、平壌の指導部は早期から「後継者としての権威付け」を段階的に国民へ浸透させる長期戦略に舵を切ったという。
北朝鮮は極めて強固な家父長制社会であり、男尊女卑の傾向が色濃く残る。仮に若き女性がトップに立つとすれば、軍部や長老層の心理的抵抗は避けられない。だからこそ、最高指導者の絶対的な寵愛を可視化し、軍の最高幹部たちに「敬意を払う対象」として刷り込ませる時間的猶予が必要なのだ。健康不安説が絶えない金正恩総書記が、自らの健在なうちに後継基盤を固めようと焦慮している可能性も排除できない。