短期間で数値を落とすことに成功した者の前に、例外なく立ちふさがるのが「強烈なしっぺ返し」です。ここでは、医学的な視点から急激に痩せる危険性と真相を暴いていきます。
人間の身体には、内部環境を一定に維持しようとする強力な防衛本能「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」が備わっています。わずか7日間で体重の5%以上を失うと、脳の視床下部は「個体が深刻な飢餓状態および生命の危機に瀕している」と誤認します。このとき体内では、満腹中枢を刺激するホルモン「レプチン」の血中濃度が急落し、逆に猛烈な食欲をかき立てる「グレリン」が大量分泌されます。このホルモンの嵐に、個人の意思や根性で抗うことは脳科学的にほぼ不可能です。
さらに見過ごせないのが、リバウンドしない理由を正しく理解していないことによる代謝の崩壊です。炭水化物を断ち切ったことで飢餓状態に陥った筋肉細胞は、糖を取り込む受容体の感受性を高めています。この状態でダイエット終了のご褒美としてラーメンやスイーツなどの糖質と脂質を口にした瞬間、枯渇していたグリコーゲンプールに糖が猛烈な勢いで雪崩れ込みます。
前述の通り、グリコーゲンは3〜4倍の水分を抱え込みます。さらに、摂取した塩分によって浸透圧が急上昇し、失われていた体水分が数時間でリバウンドします。結果として、「終了後わずか48時間で体重が5キロ元通りになり、落ちた筋肉の代わりに脂肪だけが増えたため、以前より太りやすく締まりのない体型になった」という最悪の結末を迎えるのです。また、急激な減量は胆汁中のコレステロール濃度を急上昇させ、胆石症を引き起こすリスクを高めることも日本消化器病学会などの報告で指摘されています。