書籍やライフスタイル系Webメディアで定期的にブームとなるのが「肉球占い」や「肉球の色による性格診断」です。「ピンク色の肉球はおっとり甘えん坊」「黒い肉球は警戒心が強くワイルド」「あずき色は好奇心旺盛なハンター気質」といった言説が広く流布されています。
しかし、エジンバラ大学をはじめとする国際的な動物行動学研究や、日本獣医生命科学大学等の検証において、猫の肉球の色と性格の直接的な因果関係を証明した査読付き論文は2026年現在も存在しません。性格形成に影響を与えるのは、母猫からの初期社会化期(生後2〜9週齢)の経験、生活環境のエンリッチメント、そして一部の毛色関連遺伝子(アグーチ遺伝子の有無による野性味など)の間接的影響に留まります。
飼い主が「ピンクの肉球だから甘えん坊に違いない」と感じる背景には、心理学でいう「確証バイアス」や「擬人化の投影」が強く働いています。人間側の期待が無意識のうちに愛猫の特定の行動だけをクローズアップさせ、神秘的なラベリングを楽しんでいるというのが科学的な真相です。エンターテインメントとして楽しむ分には無害ですが、性格の決めつけによって愛猫のストレスサインを見過ごすことのないよう注意しなければなりません。