Web小説の可能性を決定づけたのは、間違いなく先駆者たちの圧倒的なストーリーテリングである。なかでも理不尽な孫の手による『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』は、緻密な世界観と主人公の泥臭い成長劇で「異世界転生」というジャンルの金字塔として君臨し続けている。人生のやり直しを描くリアリティ溢れる物語構造は、世界中のファンの心を掴んで離さない。
時を同じくして、長月達平が紡ぎ出した『Re:ゼロから始める異世界生活』は、「死に戻り」という極限状態のサスペンスとキャラクターの深遠なドラマを融合させ、Web小説の持つ表現力を証明してみせた。また、『転生したらスライムだった件』のように国造りや外交といった要素を取り入れ、広大なハイファンタジーの世界観を提示した作品も社会現象を起こした。これらの成功が、後に続く数多くのクリエイターに道を示したのは言うまでもない。