個人の心身を蝕む焦燥感は、すでに社会全体の構造的危機へと拡大した。厚生労働省が発表した労働安全衛生調査のデータによれば、仕事や職業生活に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合は高止まりを続けており、過度の精神的負担から休職や離職を余儀なくされる事例も依然として多い。
この危機的状況を背景に、メンタルヘルス産業は空前の市場規模へと急速に拡大した。マインドフルネスアプリ、ストレス測定デバイス、メンタルケアカウンセリングなどが市場を賑わせている。しかし、これらは根本的な負荷を軽減する仕組みではなく、対症療法にとどまる危険性も潜む。
企業や組織が過剰な労働密度を放置したままでは、商品やサービスを買って一時的に回復し、再び限界まで働き続けるという負の循環を断ち切ることはできない。