ネット上の掲示板やSNSでは、時折「イカ天出身バンドは一発屋ばかりで、ブームとともに消え去った」という論説が見受けられます。しかし、これは音楽シーンの構造を無視した明らかな誤認です。
第一に、番組出身バンドが遺した「その後のロックシーンへの遺伝子」は計り知れません。審査員を唸らせながらもキング獲得には至らなかった人間椅子は、30年以上の地道な活動の末、2019年に公開された『無情のスキャット』のミュージックビデオが世界中で爆発的な再生数を記録。2020年代半ばの現在も、ヨーロッパや北米の大型メタルフェスに招聘される世界的カルトヒーローとなっています。
第二に、マルコシアス・バンプ、JITTERIN'JINN(ジッタリン・ジン)、宮尾すすむと日本の社長など、直接的なミリオンセラーには届かずとも、後進のJ-POP・ギターポップ・パンクシーンに決定的な影響を与えたバンドが多数存在します。ジッタリン・ジンの『夏祭り』がWhiteberryにカバーされ平成を代表する名曲となった事実や、数多くのパンクバンドの雛形となった功績は、一発屋という短絡的な言葉では到底片付けられません。
消費サイクルの速いテレビ業界において、流行歌としての賞味期限が切れた後も、彼らの多くはライブハウスシーンに根を下ろし、2026年の現在に至るまで「プロフェッショナルな現役ミュージシャン」として音楽的自立を果たし続けています。