近年、三井住友銀行を含む各金融機関が振込手数料の改定を相次いで実施してきた背景には、金融業界全体の構造変化と明確な政策的意図が存在します。
第一の要因は、物理的な店舗網および現金取扱インフラの維持コスト肥大化です。ATMの警備・輸送費用、老朽化した機器の更新費用、店舗スタッフの人件費は、低金利環境が長期化した日本市場において銀行経営の重い足枷となってきました。金融庁が推進するキャッシュレス化・ペーパーレス化の基本方針とも合致する形で、各行は「窓口や現金を伴う取引には相応の原価を課す」という受益者負担の原則へ舵を切りました。
第二の要因は、デジタルチャネルへの誘導(行動経済学でいうナッジ効果)です。オンライン取引の手数料を極端に引き下げ、店頭取引を引き上げる価格差を設けることで、ユーザー自身に能動的なアプリ移行を促す設計が採られています。その結果、デジタルリテラシーの高い層は恩恵を受け、従来通りの対面手続きに固執する層が実質的なコストを負担するという二極化構造が定着しました。