成城学園高等学校在学中の1983年、名作ドラマ『青が散る』(TBS系)の主演オーディションに合格し、鮮烈な俳優デビューを飾った石黒賢。大学テニス界を舞台にした同作で、爽やかさと繊細な青年の葛藤を見事に表現し、一躍トップアイドルのような人気を博しました。バブル期前後のトレンディドラマ全盛期には、知的なエリート青年役を次々と好演し、お茶の間を虜にしました。
キャリアの決定打となったのが、1993年に放送されたフジテレビ系水曜劇場『振り返れば奴がいる』です。石黒賢が演じた正義感あふれる内科医・石川玄と、織田裕二が演じた冷徹で傲慢な天才外科医・司馬江太郎。対極に位置する2人の医師が激突するヒューマンドラマは、最高視聴率22.7%を記録する社会現象となりました。
当時、現場では若き2人の主演俳優が役作りの解釈を巡って激しく意見を戦わせたという逸話が残っています。劇中で石川玄が病魔に侵され息を引き取る壮絶なクライマックス、そして最終回ラストシーンの衝撃的な幕切れは、30年以上が経過した現在も日本のテレビドラマ史に燦然と輝く金字塔です。
後年のインタビューにおいて石黒は、「織田くんとはあの作品で命を削り合いながら向き合った。戦友であり、今でも特別なリスペクトを抱く存在」と述懐しています。その後、1998年から始まった大ヒットコメディ『ショムニ』シリーズでは、庶務二課と対立しつつもどこか憎めないエリート課長・右京友弘役を軽妙に演じ、シリアスからコメディまでカバーする役者としての幅の広さを証明しました。