矢琶羽が駆使する血鬼術「紅潔の矢」は、目に見えない赤い矢印を発生させ、触れた対象を指定した方向へ強制的に移動させる恐るべき力だ。この矢印自体には直接的な破壊力がない。しかし、急激な加速度とベクトル変化によって人体を叩きつけることで、骨肉を容易に粉砕する。視認するためには矢琶羽自身の目を媒介にするか、特殊な符を用いる必要があり、初見で対応するのは極めて困難といえる。
この絶望的な攻撃に対する竈門炭治郎の攻略法は、まさに息をのむ発想の転換だった。力づくで抗うのではなく、矢印が持つ運動エネルギーに自身の技を合わせる選択をしたのだ。水の呼吸「参ノ型 流流舞い」や「拾ノ型 生生流転」、そして応用技である「捩れ渦」を組み合わせ、矢印の方向へ自ら体を回転させることで衝撃を相殺。そのまま首を切り落とすという、極限状態での判断力が勝利を引き寄せた。