対象となる作家のキャリアステージも対照的です。
芥川賞は徹底して新進作家(新人)に贈られる賞です。デビュー作や第2作で受賞を果たす作家も珍しくなく、受賞を機に無名から一躍時代の寵児となるシンデレラストーリーが度々生まれます。作家としての将来性や、文学界に新しい風を吹き込む尖った才能が強く求められます。
対照的に、直木賞は基本的に中堅作家を顕彰する色彩を帯びています。新人賞を獲ってデビューした後、何冊も単行本を出し、エンタメ小説の現場で一定の読者支持と実力を積み上げてきたプロフェッショナルが選考対象になります。何度も候補に挙がりながら涙を呑み、作家生活10年〜20年目の節目で悲願の受賞を果たすケースが多いのは、このためです。