検索エンジンやSNSのサジェスト欄に時折現れる「打ち切り」という不穏な単語。これに不安を覚えた読者も少なくないはずです。しかし、出版元のスクウェア・エニックス公式発表資料および『少年ガンガン』の掲載実績を調査した結果、本作が打ち切られたという事実は一切存在しません。連載は継続中であり、物語はむしろ緻密なクライマックスへと突き進んでいます。ではなぜ、このような風評被害とも言えるワードが独り歩きしてしまったのでしょうか。
第一の要因は、単行本発売日の周期が長期化した点にあります。原作の天野央夏先生と作画の梅津葉子先生による本作は、緻密なトーンワークと重厚なバトル描写を武器とする月刊連載作品です。週刊誌作品のように3〜4ヶ月ごとに新刊が出るわけではなく、1巻を刊行するまでに約8ヶ月から1年近いインターバルを要します。近年のファスト消費に慣れたライト層が、新刊の店頭陳列の間隔を見て「更新が止まった=打ち切られたのではないか」と早合点したケースが後を絶ちません。
第二の要因は、アニメ1期の最終話が綺麗に一区切りついた構成になっていたことです。アニメオリジナル要素を微細に交えつつ、あたかも単発作品のような爽快な着地を見せたため、「アニメ展開はこれで終了、原作も終了した」と混同する層が一定数生じました。
第三の要因は、インターネット検索のアルゴリズム特有の「ネガティブサジェスト連鎖」です。人気作の連載が少しでも休載を挟んだり、休載告知が出たりするだけで、「打ち切りか?」と検索するユーザーが急増し、その行動ログがサジェストとして固定化されてしまう情報環境の弊害が背景にあります。