お彼岸の象徴とも言える和菓子「ぼたもち(牡丹餅)」と「おはぎ(お萩)」。基本的には同じ原材料(もち米、うるち米、小豆あん)で作られますが、その呼び分けと製法には日本の豊かな四季感が反映されています。
春のお彼岸に供えるのは、春を代表する花である「牡丹(ぼたん)」に見立てたぼたもちです。冬を越した小豆は皮がやや硬くなっているため、皮を取り除いた「こしあん」で作るのが本来の伝統です。対して、秋のお彼岸に供えるのは、秋の七草のひとつである「萩(はぎ)」の花に見立てたおはぎです。秋は小豆の収穫期にあたり、採れたての新豆は皮が極めて柔らかいため、風味豊かな皮ごと潰した「粒あん」で仕上げます。季節の移ろいを食感と視覚で味わう、先人の繊細な美意識が息づいています。
また、親族への手土産や寺院への謝礼において不可欠となるお彼岸のし袋マナーについても、恥をかかないための正確な基準を押さえておきましょう。
なお、お通夜や葬儀では「突然の訃報に墨をする時間も惜しんだ」「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味を込めて薄墨を用いますが、事前に日程が決まっているお彼岸の法要では、通常の濃い黒墨を使用するのが正式な作法です。知らずに薄墨を使ってしまうと、逆に失礼にあたる場合があるため注意してください。