2026年の現在、仮面ライダーシリーズにおける女性ライダーの存在は決して珍しいものではなくなった。しかし、そのすべての先駆者となったのが『仮面ライダー龍騎』の劇場版に登場した霧島美穂、すなわち仮面ライダーファムだ。当時、現役高校生タレントとして多忙を極めていた加藤夏希がこの大役に抜擢された背景には、制作陣の強い意図があった。
オーディション現場でのエピソードについて、加藤本人は後に「自分にヒーローのオファーが来るなんて夢にも思わなかった」と振り返っている。当時の現場は、圧倒的に男性キャスト中心の熱気にあふれていた。その中で、白い羽をモチーフにした優美なスーツを身にまとい、復讐に燃える詐欺師という一筋縄ではいかない役柄を演じ切ることは、並大抵のプレッシャーではなかった。彼女が明かした舞台裏によれば、変身ポーズの練習は鏡の前で何百回と繰り返され、マントを翻す瞬間の角度や視線の動き一つひとつにまで徹底的なこだわりが詰め込まれていたという。