漠然と「触れ合いが少ない」と感じていても、どの段階からセックスレスと呼ぶのか、正確な基準を把握している人は多くありません。医療や心理学の現場において広く用いられているのが、日本性科学学会が定めた明確な定義です。
同学会では、セックスレスを「特別な事情がないにもかかわらず、合意された性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上行われておらず、その後も長期にわたることが予想される場合」と規定しています。つまり、カレンダー上で単純に30日〜1ヶ月が経過した事実だけでなく、「この先も再開される見込みが立たない」という見通しを含めて判定されます。
ここで重要なのは「特別な事情」の有無です。以下のような客観的な要因が存在する場合は、医学的・社会通念上、直ちにセックスレスとは分類されません。
- 妊娠中や出産直後の産褥期、授乳期による母体の身体的回復期間
- 生殖器系の疾患、重篤な内科的疾患、大手術後の療養期間
- 長期出張、単身赴任、介護などによる物理的な同居の断絶
問題となるのは、病気や物理的隔離といった外的な阻害要因が一切ないにもかかわらず、一方または双方が接触を避け続け、1ヶ月、半年、1年と空白期間が固定化してしまうケースです。近年では婚姻関係を結んだ直後から一度も関係を持てない、あるいは数回で途絶えてしまう「新婚レス」の相談も増加しており、夫婦関係の初期段階から深刻な溝を生む要因となっています。