生胡椒の塩漬けのパッケージを眺めていると、頻繁に目にするのが「カンポットペッパー(Kampot Pepper)」という名称です。これはカンボジア南西部のカンポット州およびケップ州で栽培される胡椒で、世界的な美食ガイドやミシュラン星付きレストランから「胡椒の王様」と称賛される最高峰のブランドです。
カンポットペッパーが別格とされる背景には、地理的・環境的要因があります。海洋性気候とミネラルを豊富に含む粘土質の土壌、そして伝統的な完全有機栽培(クメールの伝統農法)によって育てられ、EU(欧州連合)の地理的表示保護(PGI)認証をカンボジアで初めて取得しました。ワインにおける「シャンパーニュ」や「ボルドー」と同じく、産地偽装が厳格に禁じられている国際的なエリートスパイスです。
一般的な量産型の黒胡椒実と比べ、カンポットペッパーの生胡椒は実の詰まりが均一で、皮が薄く、噛んだ瞬間にジャスミンの花やライムを想起させるエレガントな芳香が立ち上がります。塩漬けに使われる塩も現地の天日海塩を使用するケースが多く、角が取れた円熟の塩気が胡椒のフルーティーな甘みを引き立てます。初めて生胡椒の塩漬けを口にするなら、まずは「カンポットペッパー」の表記がある瓶を選ぶことが失敗を防ぐ王道です。