受験シーズンになると、掲示板やSNS上で「東京学芸大学は専攻を選ばなければ偏差値50前後で入れる」「共通テスト6割台前半で狙える穴場専攻がある」といった言説が拡散されます。確かに公表されている偏差値一覧表だけを眺めれば、実技を要する芸術・スポーツ系や、一部の特定領域専攻において偏差値が低く表示されるケースは見受けられます。
しかし、予備校分析担当者はこの安易な「穴場論」に対して警鐘を鳴らしています。いわゆる東京学芸大学穴場専攻とされるコースには、数字に現れない明確な障壁が構築されているためです。
第一に、実技検査を伴う専攻(音楽、美術、保健体育、書道など)では、学科偏差値が控えめに出る反面、実技試験の採点基準が極めて厳格に設定されています。専門の実技教室や指導者の下で何年も研鑽を積んできた受験生がひしめき合っており、学科の共通テスト得点でわずかにリードした程度では、実技一発で数十点単位の逆転を許す構造になっています。
第二に、倍率のボラティリティ(変動性)です。志願者動向を追跡した東京学芸大学倍率速報を過去数年分検証すると、前年に「低倍率・低ボーダー」だった専攻に翌年志願者が殺到し、倍率が3倍台から一気に6〜7倍へと跳ね上がる「隔年現象」が顕著に現れています。表面的なボーダーの低さだけを根拠に出願先を決めると、激戦の渦中に自ら飛び込む結果を招きかねません。