メガホンを取った市井昌秀監督は、この構想を12年以上も温め続けていたという。実の家族に対する複雑な感情や、誰しもが抱く「家族ゆえの煩わしさと愛おしさ」を原案に落とし込み、脚本を練り上げた。自主映画出身の監督ならではの鋭い人間観察眼が、作品の隅々にまで生きている。
配給を手掛けたキノフィルムズの姿勢も特筆すべきだ。エッジの効いた作品を世に送り出し続ける同社だからこそ、大手メジャー作品にはない毒気と人情味の絶妙なブレンドが実現した。劇場公開時の紆余曲折を経て、改めて作品そのものの純粋な面白さが評価されている点は、いち映画ファンとしても実に感慨深い。