建築の美しさだけに目を奪われがちですが、本館が持つ歴史資料としての価値も第一級です。博物館が位置する敷地一帯は、大阪府立の史跡公園である近つ飛鳥風土記の丘として整備されており、その中核をなすのが国史跡に指定されている一須賀古墳群(いちすかこふんぐん)です。
一須賀古墳群は、6世紀中頃から7世紀前半にかけて築造された群集墳で、確認されているだけでも200基以上、そのうち保存・整備されている約100基の古墳が遊歩道沿いに点在しています。この地域は古代、大陸や朝鮮半島から進んだ金属加工・窯業・土木技術をもたらした渡来系氏族が定住・開発した拠点でした。展示室中央には、大阪府藤井寺市の三津屋古墳から出土した巨石運搬具「修羅(しゅら)」の実物大復元模型が堂々と鎮座し、古代国家成立期の巨大土木工事の熱量を物語っています。
さらに、館内には国宝・重要文化財クラスの出土品や、直径数十メートルに及ぶ大和王権の横穴式石室のリアルな原寸大ジオラマが展開されています。薄暗い展示室内に浮かび上がる副葬品の金銅製馬具や銀装大刀、精緻な須恵器の数々は、当時の国際交流のダイナミズムをありありと伝えます。薄暗い館内で古代の死生観に触れた後、外に出て実物の古墳群が眠る緑豊かな丘を歩くという一連の体験は、他の博物館では決して得られない歴史的カタルシスを提供してくれます。