華やかな肩書とは裏腹に、シンクタンク研究員の日常は「徹底的な地道さ」に支配されています。日々の主たる仕事内容は、膨大な国内外の学術論文・行政資料の精読、統計データの計量分析、有識者や業界キーパーソンへの単独ヒアリング、そして数百ページに及ぶ調査報告書の執筆です。
特に官公庁案件では、海外の最新法制度を原書で読み解き、日本の現行法との比較分析表を作成するような緻密な作業が何週間も続きます。関係省庁の担当官(課長補佐や係長)と連日のように議論を重ね、一語一句の表現の狂いも許されない厳格な報告書を仕上げていくプロセスは、民間企業のスピード感とは全く異なる学究的な集中力を要します。
こうした業務の主力を担う専門職が「リサーチフェロー」です。彼らの採用経歴を辿ると、一般的な総合職採用とは明確に一線を画しています。東京大学、京都大学、一橋大学などの大学院修士・博士課程修了者は当たり前であり、国家公務員総合職(旧キャリア官僚)の出身者、日銀・政策金融機関の経験者、あるいは特定領域で国際学会の発表実績を持つPh.D.(博士号)保持者が多数を占めます。
現場の社員やOB・OGの証言からは、シンクタンク特有の社風と評判が浮かび上がります。「自分が作成した調査レポートのグラフや提言骨子が、そのまま閣議決定資料や新しい法律の条文に反映された瞬間の達成感は、他の業界では絶対に味わえない」という知的好奇心の充足を語る声が目立ちます。その一方で、「民間企業のように『顧客が喜んで売上が上がれば正解』という単純な世界ではなく、学術的な正当性と官僚組織特有の論理に挟まれるストレスは想像を絶する」というリアルな本音も聞かれます。