しらび平駅に降り立った瞬間、多くの都市部からの来訪者が「寒さ」に驚愕します。しらび平駅自体の標高がすでに1,662メートルあり、ロープウェイで登りつめる千畳敷駅は2,612メートルという日本の鉄道・索道で最高所を誇る極点です。
気象学の原則として、標高が100メートル上がるごとに気温は約0.6度低下します。麓の駒ヶ根市街地(標高約600m〜800m)が気温30度の真夏日であっても、しらび平駅では約24度前後まで下がり、山頂の千畳敷駅に至っては18度前後、風速10メートルの風が吹けば体感温度は8度前後の晩秋レベルまで一気に叩き落とされます。秋の紅葉期ともなれば氷点下近くまで冷え込む日も珍しくありません。
軽装のままロープウェイに乗り込んで震え上がる観光客が後を絶ちません。レインウェアや防風ウインドブレーカー、保温性の高いフリースは、季節を問わず必携アイテムです。特に中央アルプス最高峰・木曽駒ヶ岳(標高2,956m)を目指す登山者は、しらび平駅の段階でアンダーウェアとレイヤリングを的確に整えておく必要があります。
ここで重宝するのが、しらび平駅構内に設置されたコインロッカーの存在です。千畳敷カール内の散策や本格的なピークハントにおいて、麓から持ってきた余分な観光荷物や着替えは致命的な負荷となります。下山後に必要となる着替えや不要な荷物をしらび平駅のロッカーに預けて身軽なアタック体制を整えることは、体力温存と安全登山を両立させるプロ直伝の鉄則です。