物語の掉尾を飾る第147話で、語り手はプンプンから小学校時代の同級生であるハルミンへと交代します。この大胆な視点移動には、浅野いにお氏が仕掛けた痛烈なメッセージが込められています。
ハルミンは、大人になり、恋人と過ごし、仕事に追われるごく平凡な青年です。街角で偶然プンプンたちの姿を見かけますが、子どもの頃の記憶は遠く霞んでおり、彼らがどれほど凄絶な地獄を潜り抜けてきたかなど知る由もありません。ほんの一瞬すれ違い、そのまま何事もなかったかのようにハルミンの日常は続いていきます。
さらにラストシーンでは、ハルミンが勤める職場の近くで、かつて小学校に転校してきた幼少期の愛子と瓜二つの境遇を持つ少女が登場します。少女は新しい学校への不安を抱えながら、青空を見上げています。プンプンと愛子の身に起きた壮絶な愛憎劇は、どれほど当人たちにとって宇宙の崩壊に等しい大事件であったとしても、世界全体から見れば取るに足らない路傍の出来事に過ぎないという事実を突きつけて物語は幕を閉じます。人生は無慈悲に繰り返され、誰かの地獄を他所目に世界は回り続けるという諦念が、読者に深い余韻を残します。