日本のインターネット空間における集合体恐怖症の歴史は、2000年代前半の電子掲示板群で流行した「蓮コラ(女性の皮膚にハスの花托を合成した悪意ある画像)」の流通にまで遡ります。当時、不用意に画像を開いてしまい、消えないトラウマを負ったネットユーザーは膨大な数に上ります。
現代のソーシャルメディア上でも、当事者たちの切実な叫びは絶え間なく投稿されています。SNSの投稿分析や知恵袋等の相談事例を検証すると、周囲との認識の断絶が浮き彫りになります。
「カフェで頼んだスイーツにチアシードがぎっしり乗っていて、心拍数が急上昇して手汗が止まらなくなった。友人に『大げさだ』と笑われて泣きたかった」(20代女性の手記より)
「最新のハイエンドスマートフォンが3眼・4眼カメラを搭載するようになってから、他人の端末を見るだけで胃がせり上がる。街中の広告看板すら直視できない」(30代男性の告白)
周囲の人々にとっては「ただのつぶつぶ」「気にしなければいいだけの話」に映るものが、当事者にとっては身体的な拒絶反応として現れます。瞳孔の収縮、皮膚の表面温度の低下、冷や汗、呼吸の浅さといった客観的な生理学的変容が起きているにもかかわらず、単なる性格上の神経質さとして片付けられてしまう孤立感こそが、この問題の根深い側面です。