ネット上の簡易メイキング動画などで散見される最大の誤解が、「まず丸を描いて、そこにほっぺを足しましょう」という解説です。この方法は一見とっつきやすく見えますが、かえって初心者を混乱させます。
なぜなら、ベースに丸を描いてしまうと、脳が「左右対称のバランス」を無意識に保とうとしてしまい、しんちゃん特有の「横に流れるアシンメトリーな躍動感」が失われてしまうからです。アニメーションの作画監督たちが公開している設定資料においても、頭部のアウトラインは最初からひと繋がりの流線型として捉えられています。
臼井儀人氏が生み出した原作デザインの真骨頂は、キュビズム(多視点表現)にも似た「正面と横顔が大胆に融合したフォルム」にあります。正面を向いているのに鼻や頬の凹凸が真横を向いているという、視覚的なトリックこそが魅力の源泉です。円を描く固定観念を捨て、「お餅が横にプニッと飛び出たシルエット」を一筆で描く意識を持つことこそが、失敗を脱する最大のブレイクスルーとなります。