シニア期における震えは、発生部位や付随するバイタルサインによって原因を絞り込むことができます。
1. 後ろ足を中心とした小刻みな震え
老犬の小刻みな震えが後ろ足に集中している場合、筆頭に挙げられるのが犬の変形性関節症による震えや変性性脊髄症(DM)、腰仙椎狭窄症(馬尾症候群)です。臨床統計によると、8歳以上の犬の約80%が何らかの関節炎を抱えていると報告されています。軟骨がすり減り骨同士が擦れ合う痛みと、それをかばおうとして特定の筋肉に過負荷がかかることが、持続的な震えの引き金となります。
2. 全身が震え止まらない場合の原因
高齢犬の震えが止まらない原因として見逃せないのが、内分泌系や神経系の異常です。 インスリノーマ(膵臓の腫瘍)や重度の肝不全・腎不全末期による尿毒症では、シニア犬の神経疾患による震えや電解質バランスの崩れから全身痙攣が引き起こされます。また、突発的に四肢を硬直させたり全身をガタガタと震わせたりする犬の震えてんかん発作は、シニア期以降に初発した場合、脳腫瘍や脳炎などの器質的脳病変が背景にあるケースが目立ちます。
3. 呼吸の乱れや認知症に伴う震え
愛犬がハァハァと浅く速い息づかいを見せ、老犬の震えとともに呼吸が荒い状態に陥っている時は、循環器疾患(僧帽脈閉鎖不全症などによる心原性肺水腫)や重度の熱中症、強い疼痛性ショックが疑われます。 さらに、頭部の小刻みな揺れや夜間の空間への立ち尽くしを伴う場合は、高齢犬の認知症症状による震えの典型例です。脳神経の萎縮や不安感の増大、自律神経の乱れが小刻みな振戦として表面化します。