館を包み込むロケーションそのものも、鑑賞体験の価値を高める重要な要素だ。近鉄奈良駅から徒歩圏内、奈良県庁の緑豊かな敷地に隣接するロケーションは、古都散策の拠点としてこれ以上ない好立地と言える。
静かな鑑賞を終えたあと、余韻を抱いたまま一歩外へ出れば、鹿たちが群れる青々とした芝生と東大寺の大きな屋根が目の前に広がる。作品から受け取った問いを胸の中で反芻しながら、古都の豊かな空気を深く吸い込む。都市部のビル型美術館では決して味わえないこの「鑑賞と散策の滑らかなグラデーション」こそが、訪れる者を惹きつけてやまない魅力の源泉だ。