東京都練馬区。住宅街と雑多な商業地が交錯するこの街から、日本のヒップホップ・ミュージック史に残る異色のクルーが誕生した。それがD.O率いる「練マザファッカー」だ。本場アメリカのストリートカルチャーを独自に解釈し、練馬というフッド(地元)の誇りを刻み込んだ集団は、瞬く間に東京のアンダーグラウンドで頭角を現した。
転機となったのは、人気バラエティ番組『リンカーン』への出演だった。お笑い芸人の中川家・剛にヒップホップのマナーを叩き込む企画で放った「ディスる」「メ〜ン」といった強烈なスラングは、瞬く間に全国の若者へと伝播。ギャングスタ・ラップという最もアンチ・セルアウトな表現スタイルを掲げながら、テレビという大衆メディアの真ん中をジャックした痛快な瞬間だった。