スクリーン上で息づく生き物のような躍動感。それを実現したのが、当時の特撮技術の粋を集めたVFX・アニマトロニクスである。コンピューターグラフィックスが存在しなかった時代、制作陣は実物大のパペットを建造するという途方概念のない挑戦に踏み切った。
ミュンヘンのスタジオで作られた全長15メートルにおよぶ実物大の機体は、鉄骨のフレームに無数のモーターと油圧シリンダーが組み込まれていた。その表面を覆ったのは、手作業で植え付けられた数千枚のウール製ウロコと白いフェイクファーだ。目や眉、口元の繊細な感情表現を行うためだけに、内部には複数のケーブルが張り巡らされ、実に10人以上の操作スタッフが同時にチームワークで動きをコントロールしていた。
アトレイユを演じたノア・ハザウェイが実際にその背に乗って撮影されたフライトシーンは、青い背景(ブルーバック)の前で巨体を油圧ギミックで揺らし、巨大ファンで風を送り込むアナログな手法で撮影された。役者の肌に伝わる毛並みの質感と重量感が、現代のフルCG映画では決して再現できない「そこに実在する生々しさ」を生み出したのである。