都内を管轄する警視庁の交番に駆け込み、盗難届を受理してもらう場面を想像してほしい。当直の警察官が最初に尋ねるのは「メーカー名」や「色」ではなく、「車体番号の控えはあるか」という一点に尽きる。特徴的なカラーリングやカスタムパーツの写真は盗難車両の手配に役立つものの、全国オンラインの照会システムに登録できる一次キーは、車体番号と防犯登録番号の2つに限られるからだ。
国家資格を持つ自転車安全整備士が新車販売時に発行する「防犯登録甲手帳(お客様控)」を紛失している場合、現場の捜査員は被害者に対し、車体番号の手がかりを徹底して聞き出す。もし番号が完全に不明なままだと、放置自転車集積所や街頭捜索で酷似した車両が発見されても、即座に自分の手元へ戻すことはできない。警察内部の業務端末へ即日手配を載せられるかどうかが、盗まれた愛車が生還できるかどうかの決定的な分水嶺となる。