本作が公開された2007年当時、世間はメガヒットを連発していた作家・Yoshiによるケータイ小説ブームの渦中にありました。原作小説『Dear Friends リナ&マキ』の映画化にあたり、メガホンを取った両沢和幸監督をはじめとする製作陣が白羽の矢を立てたのが、当時モデルとして女子中高生から絶大な支持を得ていた北川景子でした。
2003年に『美少女戦士セーラームーン』の火野レイ(セーラーマーズ)役で女優デビューを果たし、ハリウッド映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』への出演など着実にステップを刻んでいた北川景子ですが、本作における映画単独初主演への抜擢は、彼女のキャリアを大きく左右する賭けでもありました。当時の芸能報道や関係者の証言によると、モデル出身の若手女優に対する映画業界の視線は決して甘いものばかりではありませんでした。
その下馬評を覆したのが、彼女の凄まじいまでの役作りです。撮影は主に福岡県北九州市(小倉や門司港レトロ地区)の大規模なロケ支援のもとで行われましたが、北川景子は病状の悪化に伴い徹底した食事制限を敢行。頬がこけ、目元が落ちくぼむ極限の減量を成し遂げ、ほぼノーメイクでカメラの前に立ち続けました。
病室で自傷を図るシーンや、痛みにのたうち回りながら絶叫するシークエンスでは、テストなしの一発本番で全身全霊の感情を炸裂させ、撮影現場のスタッフが息を呑んで静まり返ったという逸話が残されています。共演した本仮屋ユイカとは、あえて現場で過度になれ合わず、適度な緊張感を保ちながら魂を削り合う演技のキャッチボールを続けたと、当時の劇場パンフレットや特別インタビューで振り返っています。
また、本作を象徴する要素として外せないのが、音楽ユニット・SOFFetが手掛けた主題歌「Love Story」です。アコースティックギターと切ないメロディが織りなすサウンドは、リナとマキが心を通わせた短い青春の切なさを完璧に際立たせ、劇場の涙を誘う決定打となりました。