法的な根拠に目を向けると、日本国憲法第66条や第67条には一貫して「内閣総理大臣」という言葉のみが刻まれています。「首相」という単語は条文のどこを探しても登場しません。憲法の規定を具体化するための内閣法においても同様であり、国家組織の骨格を定義する場面では正式名称が厳密に守られています。
歴史をさかのぼると、この制度の礎が築かれたのは明治時代のことでした。1885年に太政官制が廃止されて内閣制度が創設された際、初代内閣総理大臣に就任したのが伊藤博文です。近代国家としての体裁を整える過程で誕生したこの職名は、百数十年が経過した現在も最高権威を象徴する言葉として大切に受け継がれています。