足の親指に内出血が生じた際、どのような手順で処置を進めるべきなのか。症状の深刻度に応じた適切な治し方のロードマップを把握しておくことが、爪の寿命を左右します。
受傷直後で痛みが強い急性期(発症から24〜48時間以内)においては、何よりもまず患部のアイシングと安静(RICE処置)を徹底します。保冷剤をタオルに包み、15分程度冷やすことで血管を収縮させ、血腫の拡大を最小限に食い止めます。
もし爪の半分以上が黒く染まり、夜も眠れないほどの激痛がある場合は、医療機関での爪下血腫の穴あけ(血抜き処置・穿孔処置)が劇的な効果を発揮します。医師が専用の医療用ニードルや高周波メス、熱処理した細い金属線を用いて爪に直径1ミリ程度の微細な穴を開け、爪下に密閉された血液を排出する処置です。
内圧が開放された瞬間、拍動性の激痛は劇的に消失します。爪そのものには知覚神経が存在しないため、穴を開ける処置自体に強い痛みは伴いません。ただし、インターネット上の情報を見様見真似にして、家庭にある安全ピンや裁縫針をライターで炙って自力で爪に穴を開ける行為は極めて危険です。不十分な滅菌による深部感染症や、針先が爪床の神経・骨膜を突き刺す重大な事故が後を絶たないため、穿孔処置は必ず衛生管理された医療機関で受ける必要があります。
激痛がない、あるいは痛みが引いた後の慢性期においては、血腫が爪の成長とともに押し出されるのを待つ「保存的治療」が基本となります。ここで知っておくべきは、爪下血腫の自然治癒にかかる現実的な期間です。
手の爪は1ヶ月に約3ミリ伸びるのに対し、足の親指の爪が伸びる速度は1ヶ月にわずか1ミリ〜1.5ミリ程度にすぎません。根元近くに生じた血腫が爪の先端まで移動して完全に消失するまでには、成人の平均で12ヶ月から18ヶ月(約1年〜1年半)の歳月を要します。変色が数ヶ月間にわたって消えないからといって焦る必要はありませんが、爪の根元から「健康なピンク色の爪」が新しく伸びてきているかどうかを定期的に写真に収めて比較観察することが極めて重要です。
治療の過程で血液が固まり、爪と爪床の結合が失われると、爪がグラグラと浮いてきて剥がれそうになる局面が訪れます。このとき、気になって無理に剥がし取ったり、爪切りで根こそぎ切り落としたりしてはいけません。爪床が完全に角化(皮膚化)していない段階で露出すると、激しい痛みを伴うだけでなく、爪床が収縮して新しく生えてくる爪が巻き爪や陥入爪に変形する原因になります。
剥がれかけた爪は、浮いた部分だけを慎重に爪切りで整え、清潔な医療用マイクロポアテープやサージカルテープを用いて爪の長軸方向に軽く巻き、爪床を保護した状態を維持するのが専門医の推奨する正しい対処法です。